京の通り名
京都通り名の基本
「B通A東入ル」
建物(玄関)面している通り名が先(B)で、近くの交差点の通り(A)を基点に、
どちらに行けば目的地があるかの方角を、上ル(北)下ル(南)東入ル、西入ルと表す。アガル、サガル、ヒガシイル、ニシイル、と読む。
京都の通り名表記は動きを基にした一種のナビゲーションであって、「そのとおりに動けばとおりのどちら側かに見つかる」というもので、一点を表すものではありません。
ある程度の範囲は特定できますが、厳密な位置の指定は不可能です。
「ジオどす」では、通り上で、基点から次の交差点までの中間地点を便宜的に返すようにしています。薄い赤色のエリアは場所の予想範囲で、おそらくこの範囲内にあるというものです。ジオどすでは予想範囲も返すようにしています。
京都市内聞き込み調査結果
調査や聞き込みの結果、以下のことが分かりました。
・通りのどちら側に目的地があるかは判定できない。
・次の交差点までのどこかにあるが、距離は特定できない。近い方の交差点から言うという規則はない。例えば下図のように交差点CとDの間のXを表す場合Cの方が近いから「C東入ル」とは限らず、 「D西入ル」のどちらでもよい。
・商売人は縁起を担いで「下ル」を避け、南側の交差点の方が遠くても 「南側交差点名+上ル」と表記する風習がある
・タクシーに乗る場合は実際に行きやすいように一方通行に沿って表現する等の応用がある。
・下の図のように基点となる通りが細い(マイナーな)通りの場合、分かりやすいように大きな(メジャーな)通りを基点にすることもある。この場合「基点から次の通りまでの間」というルールには当てはまらず、残念ながら「ジオどす」では対応できません。ただし、次の交差点までのブロックに必ずあるとは限らないが、次の(人間の感覚でメジャーな)大通りまでの間には必ずある。要は他人様が行きやすい言い方がベストと考えればよい。
・AとBの順序の「玄関が面している通りを先」というのはあくまでも基本であり、逆転していることも多い。例えば、京都市役所(!)の住所は、玄関が御池通に面しているが「御池通寺町上る」ではなく「寺町通御池上る」と表記されている。(道案内するときはどちらでもよい)。これは、昔の京都市役所庁舎は寺町通りに玄関があった時に伝統だそうだ。その他習慣で言い方が固定されていたり、大きいほうの通りを先に言う人がいたり、さまざまである。
・どこを基点にするかは、わりと自由。玄関のある通りのどちら側か、というのが基本だが、これも絶対とは限らない。例えば四方を通りに囲まれた区画全体にビルが建ったとする。正面玄関をどこにするかで、組み合わせ的には8とおりの言い方ができてしまう。
・さらに、土地だけで建物が無い(=玄関が無い)場合は「通り名で表現できないなぁ」という人もいた!
・通りは「通り」「通」あるいは省略されることもある。(例:四条烏丸)
・交差点にある場合は○○通○○角(かど)という事もある。
・上ル(北)下ル(南)東入ル、西入ルの表記と、道路の車線(どちら側か)は無関係
・「東入る上ル」の場合、東に向かって一筋目の路地を上る。この路地はたいてい丁字路や行き止まりで名前がないことが多い。
「ジオどす」ではこの様な表記がある場合は、通りのどちら側かの判定に使いますので、少なくとも道路のどちら側かをより細かく判定します。この場合、二つ目の方角指示については、ブロックの1/4だけそちらの方向に入った箇所を示すようにしています。予想範囲も道路の片側だけに絞られていますね。
・「東入る二筋目上る」・・とても分かりやすいですが「ジオどす」では通り名のついていない道路情報は持っていないので、ここまでお答えできません!この場合は「二筋目」を無視して「東入る上る」として処理します。
・交差点は大きな(メジャーな)通りを基点にすることもある(=次の交差点までとは限らない・・ジオどすではここは判定できません)
番外編
・「○○橋東詰」など、通り名を使わず橋名+方角+詰で表記する場合もあるようです。「ジオどす」では鴨川のメジャーな橋をカバーしています。
・メジャーな交差点にはそれ自体に名前がついています。例えば四条通東大路(あるいは東大路通四条)は祇園という交差点名になっていて、日常では「祇園西入る」などは普通に使うらしいが、住所の表記として使われているかどうかは調査中。ジオどすでは交差点名+方角には対応しておりません。
・「五条坂途中」などという表記も。これはごめんなさい、「ジオどす」では対応できません!
・「五条坂(東大路五条坂)上る」というと、大阪人には「坂を上っていくように」聞こえるが、京都で「上ル」というと必ず「北上する」ということらしい。だから坂を登るのは間違いで、東大路通りを北上するのが正解。五条坂は東北東方向に向いているので、坂を登らせたければ「五条坂東入ル」とかくべきだそうだ。
参考文献
下記文献を参考にさせて頂きました。どうもありがとうございました。
上ル下ル入ル(東京から引っ越してきた人が作った京都小事典)
京の通り名の歌
京都の通り名の唄
Wikipedia 京都市内の通り
株式会社ジオセンス 京都通り名マップ
謝辞
下記の皆様に大変お世話になりました。どうもありがとうございました。
京都ジオコーダを途中まで作っておられ、道路データをご提供頂いたジオセンスの小林様
京都市役所で質問に答えてくれた市役所職員の皆様
京都の街で道を尋ねた皆様
生粋の京都人の友人オノ君
○○通「角」という住所もあると教えてくれた元同僚のハルタさん
京都ジオコーダについてご意見頂いたジオメディア仲間のみなさん